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2010年 09月 30日
2000年に発表された作品で、邦訳が出るのに長く待たされました。
雨を降らさないあおいくもは、どんどん大きくなって世界を旅します。 あるとき地上で争う人間たちの醜い姿を見たくもは、雨を降らせる決心をします。 あおい雨に染められた地上の人々は…。 私はウンゲラーの作品が好きなので、この本を読めるのを心待ちにしていました。 けれど、「ウンゲラーが平和への祈りをこめて描いた寓話」なんて解説がついてると、 なんとなく落ち着かないのです。 ウンゲラーは、ドイツとフランスの国境の町に生まれ、 私には想像もつかないような複雑なアイデンティティと共に育ちました。 少年時代に第2次世界大戦を経験し、平和への想いも強いでしょう。 社会を風刺した作品も多く発表しています。 それだけに、あおいくもの自己犠牲によって世界は救われました、めでたしめでたし。 で終わってよいのだろうか、と思ってしまうのです。 たったひとりの英雄の出現で世界は救われないことを、彼は十分わかっているはずです。 ということは、「これはただの寓話だよ」ということでしょうか。 こんなことでは平和なんて望めないんだよ、という逆のメッセージなのでしょうか。 ひとりひとりがあおいくもになって世界中に平和の雨を降らせ、 その雨を受ける側にもなって、雨の意味を深く知らなければ何もかわらないよ、 ということでしょうか。 いつかウンゲラーに、直接聞いてみることができたらいいなと思います。
by kirja
| 2010-09-30 18:37
| 絵本のこと
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Comments(4)
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まおこ
at 2010-10-03 14:26
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何か帯に書かなくちゃいけないから、そうなっちゃうんですねぇ。キルヤさんのおっしゃるようなことは、私もたまに感じます。
「ことば」ってなんなんですかね。口に出したとたんに陳腐になるというか。だから私は「ことば」を使って表現できる人に憧れるし、ことば以外のものを使って表現している人を尊敬するんだろうなと、このブログを読んで改めて感じました。 だいたい、絵本に解釈を入れて、なんかオチをつけるって抵抗ありますね。じゃあ、サルビルサはどんな帯がついてたんだろう。 推して知るべしですね。
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kirja at 2010-10-04 10:39
まおこさん
絵本に帯はいらないと思うんですよね。それだけで表紙の 美しさを損なってしまうし。おまけにナントカ氏絶賛!!なんて 書いてあったら最悪です。 幸い、サルビルサには帯はありません。 私もこうやって毎日ブログを書いていますが、 絵本について書くときはとても悩みます。 紹介したい絵本があっても、何日も書けないでいることが よくあります。 「ことば」は本当にむずかしい。 この「あおいくも」の記事を書くのも何時間かかった事か…。 またご意見聞かせて下さい。
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あおおに
at 2010-10-08 23:56
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kirjaさん数少ないぼくが信じてる仲間だとかってに思ってます。何たってボクの"dino"を愛してくれたんだものネ。→あの作品のこと。で、本題。ボクは音楽評論家になりたいと思ったことがありましたが、なれなくてほんとによかったのです。色んな作品があってそれぞれが聞く側で判断力したらいい。理解の深さに差はあっても、それぞれその時点で大切な経験なのです。土台の上に屋根乗せるのはおかしいのにみんなそんなことが好きみたい。経験は代わってもらえないのに…。わかりますか?
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kirja at 2010-10-10 11:34
あおおにさん
私たちキルヤが、あおおにさんの信頼に値する人間かどうかは わかりません。でもそう言ってもらえてうれしいです。 最近読んだ本に「ことばは生命だ」と書いてありました。 「ことばは、自分の生命をむしり取って生み出すものだ」と。 「ことば」というものの重みをすごく感じました。 だけどあおおにさん、あんまり悩まないでくださいね。 白髪が増えますよ。笑。
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